お伽草子 @サントリー美術館

『お伽草子 ーこの国は物語にあふれている』
2012年9月19日(水)~11月4日(日)
サントリー美術館 


お伽草子とは、鎌倉時代末から江戸時代にかけて成立した、それまでの時代にない主題を取り上げた短編の絵入り物語を指すそうです。(おとぎ話とはちょっと違うんですね)

平安時代の貴族階級が親しんだ長編から武士や平民が楽しむ短編へとかわり、内容も下克上や立身出世など世相を映した話が多いとか。題材はほかに動物を登場人物にした異類婚姻譚や異郷をテーマに据えたものもあり、バラエティ豊かです。


そのお伽草子の世界をくまなく紹介しているのが、サントリー美術館の『お伽草子 ーこの国は物語にあふれている』展。館内には巻物がずらずら〜っと並び、見応え十分。普段の鑑賞より時間を費やしました。

※ お伽草子について詳しく知りたい方は、ウィキペディアがわかりやすくまとめてます。本展構成もこんな感じ。こちらをクリック。





第一会場の入口。物語の世界へいざっ


お伽草子を観ていて思ったのですが、理解しようとすると、読み解くのが意外と難しい代物です。筋の多くが素朴で多義的、描写は極めて単純。それが分かりやすいというよりは、現代人の私たちが読むと起承転結が突拍子もなくて「なんでそうなるの?」と首をかしげる感じです。

たとえば、人気のサントリー美術館蔵『鼠草子』は、人間の女性を見初めた鼠の殿様が振られてしまい、失恋の痛手に泣く泣く仏門に入って「目出たし、目出たし。ハッピーエンドだね」という物語。失恋して仏門に入るなんて、アンハッピーエンドにしか思えませんが、当時からすると「仏門に入る→御仏に救済される→幸せ」という解釈になるそうです。ようわからんですよね。(わたしは、ぶらぶら美術館で予習おいてよかったです^ ^;)

よくわからなくても眺めているだけで、おかしくておもしろいのですが。 


『鼠草子絵巻(巻二 部分)』五巻 16世紀/サントリー美術館蔵

 


『藤袋草子絵巻(部分)』一巻 16世紀/サントリー美術館蔵
もらいうけた姫が泣き暮らすので、お猿たちは元気になってもらおうと一生懸命。姫は通りがかりの猟師に助けられるそうですが、なんだかお猿たちがお気の毒。



お伽草子は同じ題材でも「絵と文章が別巻」になっている場合もあり、絵の巻を見て別の作者がアレンジした物語を描いたり、逆に文章が一緒で絵を別の絵師が描いたりと、源流はひとつでも様々な物語があるそうです。日本らしい大らかさ、自由な発想があっておもしろいです。まさに、たくさんの「物語にあふれている」国なんですね、日本って。



個人的に、放屁芸で出世した者・脱糞でしばかれる者の両者を取り上げた『福富草子』と、綴られた草書がめちゃくちゃ美しく、成敗されるお化け蟹(←子蟹を殺された敵討ちで悪さをする)がかわいそうな『岩竹』、蛇の頭がパカッと割れてプリンスが姫のもとにあらわれる『天稚彦物語絵巻』、悲恋を描いた『松姫物語絵巻』がサントリー美術館の展示では好きでした。異類婚姻譚も付喪神もよかった。巻物の形状では、天地15cmの小絵と呼ばれるものが短辺サイズが短いだけなのに美しく見えました。

とにもかくにも、量がたっぷりな展示でした。



展示リスト:
サントリー美術館公式サイトより(PDFから展示替期間以外を抜粋)
正式なリストはこちら